月で逢おうよ 39

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 やがて戻ってきた幸也の手にはポカリスエットが二つ。その一つを勝浩に差し出した。
「あ、どうも…すみません……」
 二人してブランコに腰を降ろし、プルトップをあける。ポカリを一気に半分ほど飲み干して、勝浩はようやく人心地ついた。
 あたりはすっかり暗くなってしまった。
 どこにいる、ユウ!
 迷子になって寂しい思いをしているのではないだろうか。
 もしや事故にでもあっていたら、どうしよう、ユウ……!
「元気出せって。そう遠くには行ってないだろ。ひょっとして、ホームに舞い戻ってるかもしれないし」
 幸也が珍しく神妙に言葉を選ぶ。
「あいつ………、どうやら引越しで前の主人に置き去りにされて、学内うろついてたのをうちの研究会に連れてこられたんです。一年くらい前」
 勝浩はユウと初めてあった頃のことを頭に思い描きながらポツリポツリと口にする。
「ったく! 言葉がしゃべれないと思って、勝手なことするよな! ま、そんな飼い主じゃ、一緒にいたって幸せじゃなかったろうさ」
 怒りを顕にする幸也を見て、勝浩はちょっと微笑んだ。
「しばらくは何も食べてくれなくて。クラブハウスにおいといたら衰弱していくだけかもしれないと思って、俺、自分の部屋に連れてったんですけど、最初は全然心を開いてくれなかった。でも、辛抱強く世話したかいがあってようやく、ミルク飲んでくれて。それから、ずっと一緒に暮らしてきたのに」
 そうだ、ちょうど幸也が留学したらしいと、七海から聞いたばかりの頃だった。
 あの頃の自分にとって、ユウはどんなに頼もしい存在だったことか。
「勝浩…、大丈夫だって、見つかるさ、すぐ」
 いや、例え幸也が留学から戻ってきたからといって、たまたま検見崎に頼まれてここにいるだけで、そもそも遠い存在なのは変わりはなかったっけ。
「すみません、もういいです。長谷川さん、忙しいのに。俺、ひとりで探しますから」


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