月で逢おうよ 40

back  next  top  Novels


 勝浩は浮かれていた自分に叱咤するように立ち上がった。
「勝浩、自分だけで何とかしようってとこ、変わってないよな。あのさ、目の前にいるやつは親でも使え、くらい、図太くなれとは言わないけどな、もちょっと周りに頼ってもいいんじゃないか?」
 急に幸也にそんなことを言われて勝浩は戸惑う。
「俺なら全然平気だからさ、これ飲んだら、気取り直して、ユウの捜査再開しようぜ」
「……ありがとうございます…」
「まあた、そんな他人行儀な! 俺と勝浩の仲で」
 がしっと肩を引き寄せられて、勝浩はかあっと熱くなる。
「ちょ…悪ふざけはやめてくださいってば」
 腕を逃れようとするものの、何となく力も入らない。
「なんか勝浩、とってもいい抱きゴコチぃ」
「長谷川さ……!」
 ちょっといい人だと思ったらすぐこれだ。
 そんなことしないでほしい。
 俺が、どんなに好きだったかなんて、知らないくせに!
 今だって、また…………。
 その時、勝浩の耳に聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
「……ユ…ウ……?!」
 勝浩は叫ぶと、幸也の腕を振り解いて駆け出した。
 聞こえる。あれは絶対ユウだ!
 きゅうん、きゅうん、と、鳴き声らしきものに耳を澄ましながら、四方を見回す。
 どこだ?
 じっと木々の間に目を走らすと、大きな銀杏の木の根元に動くものが見える。
「ユウ!」
 いた!
 勝浩を見つけたユウが、ワン、と一声吠え、嬉しげに尻尾をクリクリ振っている。
 駆け寄ってみると、ユウのリードが植え込みの柵に引っかかって動けないでいたのだ。
「まったく、お前は人騒がせなやつだ!」
「いたか!」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ