月で逢おうよ 41

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 駆けつけた幸也もしゃがみ込み、しきりと勝浩の顔をなめまくっているユウの頭を撫でまわす。
「よかったな、こら、勝浩に心配かけんじゃねーぞ、ユウ」
「ほんとによかった。どうもありがとうございました!」
 勝浩は幸也にぺこりと頭を下げる。
「いやいや。お礼は勝浩のその可愛い笑顔で十分」
「そうやって人をおちょくらなければ、いい人なのに」
 唇をムッと尖らせて、勝浩は軽く幸也を睨みつける。
「そういえば、俺の知らないうちに、何で長谷川さんの携帯が登録されてるんです?」
 今になって、幸也の携帯を受けたとき、しっかり幸也という文字が出たことを思い出した。勝浩には幸也の携帯を登録した覚えなどまったくないのに。
「覚えてないのか? 飲み会の時、携帯の番号、交換しただろ」
「え………」
 そう言われても記憶がないから、むやみに否定もできない。
「ほんじゃ、車にもどろう。送るからさ」
「え、あの、でもそこまでしていただいたら…」
「遠慮なんかするなって言ったはずだぜ?」
「…じゃあ、お願いします」
「よーし、ユウ、行くぞ」
 勝浩とユウを従えて、先頭に立って歩く幸也の背中を見て、勝浩は苦笑する。
 いつか、子どもたちを従えて一緒にボール追いかけていた、あの時の記憶がオーバーラップする。
 変わってないんだな。
 きっと、この人の本質は。
 勝浩は笑う。
「どうした?」
「いえ、そういえば、ライター失くしませんでした? これ」


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