月で逢おうよ 45

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 しかもその上に女の子二人の飛び込み参加は、勝浩の心に暗雲をもたらした。あの合コンに幸也が連れてきた、ひかりとリリーだったからだ。
「あたしたち清里にいるんだけど、混ぜて~」
「お前ら、さては知っててきたんだろ?」
 検見崎の鋭い突っ込みに、二人は顔を見合わせて肩をすくめるだけだが、誰に聞いたのか、確認するまでもない。可愛い女の子の乱入に、大杉や春山ら男たちは大歓迎だ。
 その日のバーベキューは、大騒ぎのうちに幕を開けた。
 バーベキューを焼く専門は検見崎と垪和だ。慣れた手つきで、みんなで刻んだ肉や野菜を返していく。
「ほーい、焼けた焼けたよっ! にんじん、かぼちゃ、お肉にたまねぎ! 早いもん勝ちだよーん!」
 検見崎の威勢よい掛け声に、きゃっきゃいいながら、女の子たちが皿を持って駆け寄った。
「えー、ワインにビール、ポン酒はいかがっすか~?」
 プラスチックのコップに酒を注ぎ分けている幸也のところには男どもが集まっている。
「勝浩、お前は? 何飲む?」
 ぼんやり突っ立っていた勝浩に、幸也が声をかける。
「あ、えっと、じゃ、ワインください」
「よっしゃ、ワインね」
「ども…」
 浮かない表情で受け取る勝浩に、「どうした? 疲れたか?」と、幸也は優しい言葉をかける。
「え、いえ、そんなでも」
「幸也、ワインちょうだい」
「あたし、ポン酒ね」
 ひかりとリリーがやってきたので、勝浩はさりげなく検見崎の方に向かう。
「検見崎さん」
「おう、勝っちゃん、皿出せ、皿。ぼーっとしてると食われちまうぞ」
「あ、あの、手伝います」
「じゃ、そのエプロンつけろ」
 勝浩は忙しくすることで、頭の中のもやもやを消したかった。だから、垪和に代わり、もくもくと肉や野菜を焼くことに専念した。
「検見崎さん、代わりましょうか?」
 美利がやってきて、そう言うと、「っと、んじゃあ、代わって、美利ちゃん」と自分のエプロンを取って渡し、すかさず勝浩の肘を意味ありげに小突く。


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