月で逢おうよ 5

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 一方、もの静かな秀才型でお坊ちゃま風、何匹もの犬と泥まみれになって駆け回るなんてしそうにない勝浩だが、幼い頃から犬や猫が家にいなかったことはない。
 高校時代、いろんな施設などを回って、自分たちでできることを手伝ったり、ちょっとした演劇や小コンサートなどを行ったりというボランティア活動を続けてきた勝浩には、また、捨てられた犬や猫たちを少しでも何とかしてやれないものかという思いもあった。
 学内に捨てられていた柴犬を、ユウと名づけて自分の部屋でも飼い始めて一年と半年ほどになる。
実家にももともと飼っていた犬の他に拾った猫が数匹いるが、面倒を見るにも限界があった。
 大学に入ったばかりのとき、勝浩は同じ学部で動物行動学研究室に在籍する二年上の垪和と友人を通じて知り合い、彼女から『動物愛護研究会』の存在を聞いた。
胡散臭く思いながらもドアを叩き、捨てられた犬や猫を世話しているというのを知って早速入会した。
 里親を探すためのホームページ作りとともに、勝浩が同時に提案したのが、犬や猫と一緒に施設を訪問して、希望者を募り、動物たちと接してもらおう、というものだった。
「そうすることで、犬や猫たちも役割を担い、存在感をアピールできる、と思うんです」
 初めからうまくいく話ではなかった。
「そんなつもりで入ったんじゃないぜ。ボランティアなんて、性にあわねーよ」
 無論、反発する者もいた。
「面白いかもしれないなー、それ」
 意外や勝浩の提案に賛成したのが、到底そんな面倒なことに首を突っ込みそうにないと思われていた検見崎だ。
「そうね。ぐーたら、飲み会ばっかやってる場合じゃないと、常々思ってはいたのよ」
 垪和もうんうんと頷いた。
「やってみるか。だがちょっとやそっとじゃできないぞ。こいつら、てんで躾がなってないし」
「ああ、俺、心当たりある。躾の達人に。ちょっと頼んでみるよ」


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