月で逢おうよ 53

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 間近で見ると、かなりな美人だ。でも気さくで、誰とでも陽気に話している。
 だが、自分はやはりこの二人とは関わりたくないと勝浩はその場を立ち去ろうとした。
「勝浩、テニス苦手なの?」
 いきなり聞かれて、いや、別に普通ですけど、と答える。
「幸也、とてもじょうず」
 リリーがたどたどしい日本語で笑う。
「そうですね、彼は昔から何でもこなすし。でも検見崎さんもテニスかなりな腕ですよ」
「タケ? そうね、二人で子供の頃からよく競ってたわよ」
 ひかりが言った。
「ひかりさん、検見崎さんや長谷川さんとは昔から知り合いなんですか?」
 勝浩はふと、聞いてみたくなった。
「うん、パパ同士が友達だから」
 なるほど、そういう家柄の人種なわけだ。
「そうなんですか。でも、あの二人って何か、似てますね。雰囲気とか。不思議と」
 何気なく口にする勝浩に意外な答えが返ってきた。
「あら、だって、従兄弟だもん、似ててもおかしくないよ」
「え…………」
 頭の中でその意味を勝浩がしっかり把握するまで、しばしの時間を要した。
「従兄弟…って、あの二人?」
 得体の知れない何かを飲み込んだように勝浩は息が詰まりそうになった。
「知らなかったの? ほら、二人のおじいちゃま、元政治家の」
「ああ、長谷川元外相?」
「幸也のパパとタケのパパが、その息子だから。タケのパパは婿養子に入ったから、検見崎だけど」
「え、そうなんだ………じゃあ、似てても当然ですね」


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