月で逢おうよ 54

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 ごく普通に答えたつもりだったが、勝浩はかなり動揺していた。
 だってそんなこと、二人とも何も……。
 じゃあ、俺のこと、検見崎さん、初めから知ってた、とか? まさか、ね。
 でも、何で、俺に近づいてきた?
 検見崎さんがこの会に入ったのって、俺が入ってすぐあとだった。ダブってまた一年生なんだとかって言って。
 だから、どうしたっていうんだ?
 俺のことなんか知ってたって、あの人にとって何の得にもならないじゃないか。
 考えすぎだ。そんなこと。
 そうは思うのだが、何やら嫌な感じが抜けてくれない。
「お前、顔色悪いぞ、勝浩」
 はっと気づくと、目の前に幸也がいた。
「結構陽射し強かったからな。お前、何でもムキになってやりすぎるんだよ。休んだ方がいいぞ」
「え、ええ、いえ、ちょっと遊びすぎて疲れただけで、平気です。行ってらっしゃい」
 そんな風に気にかけてくれるのは嬉しいけれど、逆に心が苦しくなる。
 幸也の心配そうな目から顔をそらし、勝浩がふらふらと自分の部屋へと階段を上がり始めると、足元に寝そべっていたユウも起き上がり、とことことあとに続く。
 本でも読もっと。
 せっかく楽しい気分でいたのに、余計なことは考えないようにしよう。
 外界から何もかもシャットアウトしてしまいたい、そんな気分だった。


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