月で逢おうよ 55

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 夕方、勝浩がユウを連れて散歩から帰ると、既に垪和たちの手で焼き肉が美味そうに焼けつつあった。
 夜は屋内で焼き肉パーティの予定だったが、女性陣がすっかり準備をしてくれたようだ。
「勝浩くん、早くおいでよ、なくなっちゃうよ」
 美利に呼ばれて、勝浩はその隣に座った。
 みんな、よく食べてよく飲んだ。
 美利は飲み物を取ってきたり、皿を取り替えたりと何かと勝浩の世話をやいた。
「ごめん、いいよ、俺、自分でやるから」
「だって、なんか元気ないし、勝浩くん」
 そんなに意気消沈ぶりが伝わってしまうのだろうかと、勝浩は気を取り直した。
「ちょっと今日、はしゃぎすぎてさ、運動不足がたたって疲れたんだよ。猫たち、みんないる?」
「うん、チャー子ってば、お風呂場好きなんだよね、なぜか。トラ吉とクロが喧嘩するから、クロは私の部屋にいるの」
「トラ吉、血の気多いよなー」
 しばらく猫たちの話題で勝浩は美利と一緒に笑った。
 犬たちは、宴会の前にみんな部屋に避難させている。
 何せ、カラオケをやるもの、踊りだすもの、はじけきった夜が深まると、度をこえた酔っ払いが、リビングのあちこちで倒れ込む姿が見られた。
「最後のモエ、開けるよー。美利ちゃん、飲む?」
「わ、飲むー。勝浩くんは?」
「俺はいいよ」
 見かけによらず、というか、どうやらこの会の女性陣はみんな強いらしい。
 焼酎で盛り上がっている男どもには、リリーが混じって大騒ぎだ。
 幸也はひかりや検見崎とゆったりと酒を飲んでいる。煙草をくわえながら談笑する幸也には、犬たちと一緒に勝浩と接しているときとは全然違う雰囲気があった。
 きっと大人のつきあいをしているのだ。
 もともと、お互いに交わることのない道を歩いているのはわかっていたはずじゃないか。
 そうは思っても、目の前で事実をつきつけられると、勝浩はまた自分の感情をコントロールできなくなってきた。
「厄介だよな……。風にあたってこよ…」


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