月で逢おうよ 61

back  next  top  Novels


 思い切りその手を振り切ると、勝浩は階段を駆け下りる。リビングを通り抜け、玄関のドアを開けて外に飛び出した。
「こら、待て、勝浩!」
 幸也の声が、背後で聞こえた。
 

 
 また、だましたんだ…!
 優しさも嘘っぱちだったんだ!
 何で……
 ひどいよ!
 いくら俺でも、
 そんなの、耐えられないよ!
 バカヤロー!
 
 
 どこを走っているのかわからなかった。
 ただ、走った。
 哀しすぎて、涙も出てこない。
 どれだけ走ったろう。
 スニーカーがもつれ、前につんのめった。
 倒れたときに手を擦りむいていたが、痛みすらももうどうでもよかった。
 起き上がることも億劫で、勝浩はそのまま膝を抱えてうずくまった。
 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ