月で逢おうよ 63

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 検見崎に指摘され、幸也は苦々しそうに吐き捨てる。
「高三の春、誰かターゲットを決めて落とせるか否かを賭けるって、俺と志央の暇つぶし、ほんの遊びだったんだ。そん時、志央はでっけぇ転校生、俺は勝浩って………。けど勝浩は俺があの手この手で言い寄っても取り合ってもくれなかったし、後になって賭けでそんなことしてたってバレた日には、最低だってオモクソ詰られた」
 幸也の自白に検見崎は一つ溜息をついた。
「なるほど、やっぱりな。だが実はもっとやばいことをやってるんだぞ、お前は」
 したり顔でそう断言する検見崎を、幸也は睨みつける。
「どういうことだ?」
「俺は勝っちゃんから、あいつが好きだった相手ってどんなやつだか、聞いたことがある」
「え?」
「高校の時の先輩で」
 幸也は息を詰める。
「人のことからかってばっかで、ムカツクこともされたし、ろくでもない人、だったと言ってた」
「……………何だって?」
 しばし絶句してから幸也は言葉を絞り出した。
「しかも、今でもシツコク、そいつのことが忘れられない、ってな」
 幸也にとっては寝耳に水、な話だった。
「……ウソだろ?」
 それってまさか。
「そんな勝っちゃんのことをだましたって? フン、お前のやったことは、市中引き回しの上磔獄門に値するぜ」
 幸也は愕然とする。
 もしそれが事実なら、自分は勝浩を倍も傷つけたかも知れないってことか?
「しかも……」
 今また同じことをされたと思っていたら。
「違う、俺は……!」
 幸也は急に踵を返す。
「おい、幸也、どこ行くんだ?!」
「ユウを連れて来る!」


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