月で逢おうよ 66

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「すみません……」
 ほっとしたようすでポンポンと背中を軽く叩いた検見崎を、ようやく離された勝浩はまじまじと見つめた。
「検見崎さん、髭が…」
「ああ、さっき剃ったの」
 検見崎はお茶目な笑みを浮かべる。
「ああ、だからか。長谷川さんとよく似てる。びっくりした」
「だろう? そのことなんだが、俺たち実は従兄弟でさ。昔っから兄弟より似てるって言われてて。黙ってて悪かったよ。これには深いわけがあってだな」
「いや、もういいですよ。ほんとに心配かけてすみませんでした」
 勝浩は検見崎の言葉を遮るように言って弱弱しく微笑んだ。
「風呂入ってよくあったまるんだぞ」
 ユウと一緒に階段を上がっていく勝浩に、検見崎が声をかけた。
 検見崎は、勝浩が二階に消えると、背後に突っ立っている幸也を振り返った。
「どしたんだ? お前。ぬーぼーとして。勝っちゃんに話したか?」
「……勝浩見つけた途端、怒鳴っちまって」
 ボソッと口にする幸也は突っ立ったままだった。
「ああ? 話してないのか? まだ」
 検見崎に呆れられなくても、だ。
 幸也はようやくトボトボと二階へと向かう。
「俺はこれで、勝浩に嫌われたら、もう日本の地は踏まない」
「何、言ってんだ、お前」
 はあ? と検見崎は眉をひそめた。
「永久にな」
 そんな台詞を残して肩の落ちた幸也が階段を上がっていくのを見ながら、検見崎は呟いた。
「タラシのなれの果てが純愛、っつーのもまた、おマヌケな話だよなー。せいぜいうまくやれよ」


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