月で逢おうよ 67

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 暖かい湯につかり、冷え切った体を温めると、勝浩はやっと人間に戻った気がしてほっと息を吐く。
「とにかくもう、面倒なことは考えないようにしよっと」
 自分を励ますように呟いてみる。
 もう胸が痛くなるような思いはごめんだ。
 明日は合宿も終わって帰るだけだし。
 幸也の車にはもう乗れないから、検見崎さんの車にでも乗せてもらえばいいか。
 湯船から上がると、バスタオルで体を拭いて新しいTシャツと下着に着替えてバスルームを出た勝浩は、自分用のベッドにうずくまるユウのすぐ横に長身の男が立って窓を眺めているのに気づいた。
「おやすみなさい」
 さっさとベッドにもぐりこもうとした勝浩は、急に腕を引かれて振り仰いだ。
「話をしないか」
 幸也は低く言った。
「俺には話なんかありません」
 勝浩は幸也を睨みつけた。
 くだらない言い訳も聞きたくないし、もう蒸し返したくもない話だった。
「いいから、聞けってんだよ!」
 激高した幸也は乱暴に勝浩を起き上がらせた。
「まず、過去の行状は別としても、今回、俺はお前をだまそうなんて気はこれっぽっちもない!」
「わざわざ部屋割りに小細工したくせに?」
 勝浩はきっと幸也を見据えた。
「だから、それは、お前と一緒の部屋になりたかったからだって」
「へえ、それで今夜何を決めるつもりだったんです?」


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