月で逢おうよ 74

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 日頃の行いがそんなによかったろうか、と思うほど見事な快晴の中、『動物愛護研究会』の一行は、一路帰途についた。
 ただし、行きと少々違うのは、アウディのハンドルを握っているのが勝浩だということくらい。
「うわつ! 勝浩、、勝浩、もちょっとゆっくりハンドルきろーな」
 サイドシートで悲鳴に近い声を上げているのは、幸也の方である。
「案外、気が小さいんですね」
 ヘアピンカーブで手に汗握る幸也の横で、勝浩が平然と言う。
 確かにちょっとハンドルを切り損なった日には、谷底へ真っ逆様だろう。
「勝浩、お前、さてはわざとだな?」
「まさか」
 うっかり、運転代わってみるか、などと口にしたばかりに。
 いや、朝、目が覚めたときから、勝浩のご機嫌をいたく損ねてしまったらしい。
 幸也がベッドから降りる頃には、勝浩はすっかり身支度を整えていた。
「おはようございます」
「今何時?」
「早くしないと、朝ご飯食べられなくなりますよ」
「うーん、俺、朝ご飯より、勝浩が食べたいな」
 パンツ一丁で、勝浩の背後から抱きすくめる幸也を、いきなり肘鉄が襲う。
「朝っぱらから、ふざけたことをぬかしていると、おいていきますからね! ユウの散歩に行ってきます」


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