月で逢おうよ 76

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 ハイキングコースをユウと歩いていても、勝浩はぷりぷりしている。
 が、どうかすると転びそうになるのを気づかれまいとしている勝浩が、幸也は可愛くて仕方がない。
「ったく、恥知らずもいいとこだよ」
「いいじゃん、嬉しいから。勝浩は嬉しくないのか?」
 もちろん、勝浩としても嬉しくないはずはない。
「だからって、言っていいことと悪いことがあるでしょ」
「俺はみんなに宣言してもいいんだが」
「…………とりあえず、やめてください、それだけは」
 ムッとしたまま勝浩は言った。
「わかった。じゃ、今夜はうちで、どう?」
「は?」
 勝浩はうっかり振り返ってしまった。
「俺の部屋、来たことなかっただろ? 何ならお前んちの傍に引っ越そうかな、いつでもできるぜ」
 何ができるって、なんて聞くまでもない。
 負けず嫌いの勝浩は幸也を置いて、ユウととっとと先へ行くのだが、身体がぎくしゃくするのをかろうじて堪えていた。
 以来、まともに勝浩が口を聞いてくれないので、幸也は下手に出て、運転してみる? なんて言ってしまったのだ。
 それが失敗の元。
 少なくとも平坦な道に入ってからにするべきだった。
「う、わっ! 勝浩、もちょっとブレーキ踏んで! な?」
「大丈夫ですよ、これしき。間違っても地獄でまた会えますよ、きっと。でも左ハンドルは初めてだからな」
「かつひろぉ??!」
 勝ち気な勝浩のことだ。ここで根をあげるなんてあり得ない。
「地獄でデートってのも、まあ、いいかなー、勝浩となら」
「やですよ、そんなの」

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