月で逢おうよ 77

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 すかさず勝浩は断言する。
「勝浩、めちゃ冷たい?」
「いつもの俺です」
「このやろ、俺を甘く見ると、ここで押し倒すぞ」
「そんなことしたら、マジで地獄行きですからね」
 それでも唇を尖らせている勝浩がかわいい。勝浩がここにいることだけで嬉しい。
「そういえば、前にライター返した時、何か慌ててましたよね? 何かあったんですか?」
「な、何、そんな古い話、今頃。何にもあるわけないさ」
 いきなり、蒸し返された話題に、幸也はうろたえる。
 こっそりキスしたなんて言ったら、また勝浩、怒るよな。
 そう、月には見られたかもしれないが。
 幸也は心の中でだけ呟いた。
「そうだ、今度、月に連れて行ってやるからさ、機嫌直せ」
 ほんとに行けたらいいな。
 そんなことを考えただけで、勝浩は何だか楽しくなる。
「いいですね、それじゃ、月で一杯やりますか」
「いいねー。しかし、そういや、美利ちゃんのことはどうなったんだ?」
「え」
 フェイントだ。
「アタックしてみるとか言ってたよな」
「あれは、その……」
 悔しいから言ってみただけなのだとは今更言いにくい。
「勝浩くん、俺はあれを聞いて、お先真っ暗になったんだよ」


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